桃（もも）は、日本において古くから愛されて

きた果物です。その甘くてみずみずしい味わい

はもちろんのこと、豊富な栄養価も多くの人々

に親しまれています。この記事では、桃の歴史

と栄養価について、古事記のエピソードを交え

ながら詳しく紹介します。

 桃の歴史：古事記のエピソード

桃にまつわる日本最古のエピソードは、『古事

記』に記されています。『古事記』は8世紀に

編纂された日本最古の歴史書であり、日本の神

話や伝承が記されています。この中で、桃は神

聖な果物として描かれています。有名なエピソ

ードとして、イザナギノミコトが黄泉の国（死

者の国）から逃げ帰る際に登場します。イザナ

ギノミコトは黄泉の国の恐ろしい追手から逃げ

る途中、三つの桃を投げつけて追手を退けまし

た。このエピソードからも分かるように、桃は

古くから邪気を祓う力があると信じられてきま

した。

桃の栄養価

桃は見た目の美しさだけでなく、栄養価も非常に

高い果物です。以下にその主な栄養成分を挙げま

す。

1. ビタミンC

 桃にはビタミンCが豊富に含まれています。ビ

タミンCは、免疫力を高め、風邪予防や美肌効

果が期待できる成分です。

2. 食物繊維

 桃は食物繊維が豊富で、腸内環境を整え、便

秘の解消に役立ちます。特に、水溶性食物繊

維は消化を助け、血糖値の上昇を緩やかにす

る効果があります。

3. カリウム

 カリウムは、体内の余分なナトリウムを排出

し、血圧を正常に保つのに役立ちます。桃を

食べることで、高血圧の予防にもつながります。

4. ビタミンE

 ビタミンEは強力な抗酸化作用を持ち、細胞の

老化を防ぐ効果があります。美容と健康の維持

に欠かせない成分です。

5. βカロテン

 桃の鮮やかなオレンジ色はβカロテンによるも

のです。βカロテンは体内でビタミンAに変わり、

視力の維持や免疫力の向上に寄与します。

桃の健康効果

桃の栄養価は、様々な健康効果をもたらします。

以下にそのいくつかを紹介します。

美肌効果：

ビタミンCやビタミンEの抗酸化作用により、肌

のハリやツヤを保ち、シミやシワの予防に効果

的です。

免疫力の向上：

ビタミンCやβカロテンが免疫細胞を活性化し、

感染症の予防に役立ちます。

便秘解消：

食物繊維が腸内環境を整え、便通を促進します。

高血圧予防：

カリウムがナトリウムを排出し、血圧を正常に

保ちます。

桃は、古代から現代に至るまで、日本人の生

活に深く根付いた果物です。『古事記』のエ

ピソードを通じてその歴史を感じるとともに、

現代の栄養学的視点からも非常に価値の高い果

物であることが分かります。日々の食生活に取

り入れることで、健康維持や美容に大いに役立

つでしょう。ぜひ、甘くて美味しい桃を楽しみ

ながら、その栄養価を存分に活用してください。